ザ・カーサ五十鈴町の現地は、
東は車が通れない道路、西は堤防に隣接という立地。
普通に考えればガレージは作れない。
いや、作っても停めれなければ意味がないだろう。
昨今、ガレージがない家は売れないと言っても過言ではない。
だからこそチームCASAは諦めない。
「それなら、空中に作ればええんとちゃう!?」
チームの中から仰天の案が発せられる。
でも、そんなのどうすればいいのか?
この時はまだ、机上の空論に過ぎなかった。
「まず空中ってどこ?」
考えはこうだ。
建物を三階建てにして三階に玄関を施し、堤防と玄関を結ぶ方法だ。
そしてスロープとなる橋を架けて、その上をガレージに使う。
これで地上10mのガレージの完成である。
イメージはできた。しかし現実的に可能なのか?
当然「建築」を行うときに守らなければならない法律(法令)が
非常に多く存在するが、今回一番の難題となったのは
堤防と河川に隣接しているため「河川法」である。
その法律により堤防に橋を架けることは許されないのである。
堤防に架けることができないのは
堤体に負荷が掛かることで決壊する恐れがあるからだ。
河川管理者との協議の結果、堤体に架けなければ
堤防から進入するのは構わないと言う返答を得た。
その結果、堤体のある上部はガレージとしての使用は不可。
あくまでスロープとして利用、さらに堤防に掛からないように
隙間を設けることでクリアした。
さらに工事する上で堤防上を走る道路は
市道と府道が混在していたため
茨木市と大阪府、どちらの許可も必要であった。
河川保全区域において、工作物を設置したり、
土地の掘削、水を浸透させる等を行うと、
堤防や護岸が崩れたり、壊れる原因となる可能性があるため
事前に河川管理者の許可が必要となる。
当然、ガレージとしての機能を保つため
車の荷重を考慮した強度のある構造物にしなければならないが、
河川保全区域のため構造物の杭基礎工事の施工方法についても
河川管理者と協議を重ねる必要があった。
数々の問題をクリアして工事に入るわけだが
難しい工事なので細心の注意が必要である。